中国研究第一人者・遠藤誉さん(13回)が母校で講演

 中国研究第一人者として活躍されている遠藤誉さん(13回)が多忙な日々を縫って、平成28年6月29日(水)午後来校され、2年生320名を前に講演された。


 遠藤さんは、登校拒否となった新宿高校には、「辛くいやな」想い出があって卒業後これまで訪れることは出来なかった。今日はそんな想いにケリをつけるつもりで来ました」と切り出されました。
  終戦時の中国での過酷な経験、引き揚げ後の宮崎生活を経て意気揚々と転入した新宿高校、後の人生を左右することになった「辛くいやな」出来事と遭遇した以降は登校される事はなかったそうです。登校拒否後の図書館通いでは、この世とは何かの答えを求めて哲学の本を読みあさり、そして行き着いた理論物理の道に進んで大学で教鞭をとるなか、新聞社の企画「女性ヒューマンドキュメンタリー」での大賞受賞。その新聞社の強い勧めで書き下ろした小説『卡子(ちゃーず) 出口なき大地』で文壇に登場するとともに、現在のライフワークともなる中国研究の道に入って今日に至ったと自らの人生を振り返られました。

 そして、遠藤さんは生徒の皆さんに、「自分の人生はまさに“劣等感をジャンプ力に”したようなものだった。新宿高校に背を向けた私が今こうしているのも“死んでなるものか”と自分を信じて生きてきたから。皆さんも、世の中にも高校生活にも不満や不信などあるかも知れないが、物事を批判する目があることは大切なこと。挫けずに、自分を信じて、自信をもって生きてほしい」とエールを送って締めくくられました。
 最後にあたって、近著『毛沢東―日本軍と共謀した男』の内容にも触れ、中国共産党政権の正統性への疑念を鋭い語り口で述べられる時には、いつもの切れの良い語り口に戻られていました。
 終了後に同窓会事務局で喉を潤されている遠藤さんを二人の中国人生徒が訪ねてきたとき、流暢な中国語でお話されながら自著にサインされたり、名刺をお渡ししながらアドバイスを送られている遠藤さんのお顔に、ご自分の可愛いお孫さんを見ているような、親身な優しさがあふれているのが印象的でした。