年頭ご挨拶
2021年の年頭にあたり

2021年1月1日

東京都立新宿高等学校 朝陽同窓会
会長 橋本 健一(第19回)

 朝陽同窓会会員の皆様、明けましておめでとうございます。
 昨年12月、同窓会始まって以来、初めての紙上での開催となった同窓会総会で、田中俊郎前会長の後を受け、分不相応にも、会長をお受けすることになりました。よろしくお願いいたします。
 本来ならば、爽やかに迎えたい新年ではありますが、素直におめでとうとは言えない気持ちをお持ちの方が多いことと思います。勿論、新型コロナウイルスの感染拡大が収まりを見せない状況を憂えてのことです。まだ、まだ、警戒・自粛・慎重な行動を余儀なくされる状況は続きそうです。

 昨年の5月29日、航空自衛隊アクロバットチーム「ブルーインパルス」により、医療従事者をはじめとする新型コロナウイルスと闘う多くの方々に、敬意と感謝を込めての特殊飛行が東京上空で行われました。たまたま見上げた快晴の青空に描かれた、6機編隊の、輝くばかりに白いスモークは美しく、4月7日に発出された緊急事態宣言が解除された直後のことでもあり、このまま夏ごろには、新型コロナウイルスも収束を迎えるのではないかとの期待をも抱きながら見つめていました。
 しかし、その期待も虚しく、皆様ご存知の通り、夏の第2波、それが完全に収まらないうちの冬の第3波と感染拡大は続いています。
 同窓会も大きな影響を受けました。同窓会の目的のひとつは朝陽同窓会規約に謳われているように会員相互の親睦を図ることにあります。そのための大きな部分は、総会,ホームカミングデー,朝陽クラブのほか、同期会,各クラブのOB・OG会等、人が集まることにより成し遂げられます。

 しかしながら、本来、群れで生活するよう進化したヒトという動物の最も基本的な生活スタイルである、「集まる」ことは新型コロナウイルスにより奪われ、多くの行事が中止となってしまいました。
 昨年は、代表幹事会は1月(臨時),2月(定例)は通常通り開催できたものの、それ以降は、予め郵送した議案書に対し、Eメール等で賛否の確認をいただく紙上開催方式を取らざるを得ませんでした。総会も同窓会誌「朝陽」に議案を掲載し、冒頭で述べましたように紙上開催として、Eメール等で賛否をお伺いしました。その結果、207名の方々からのご連絡がありました。従来、総会の参加者数は100名前後ですから、これまでより多くの方のご意見を反映させることができたことになり、紙上開催方式の一つの収穫であったかもしれません。

 さて、現在、同窓会が直面する課題のひとつに、臨海教室で使われる館山寮再建の問題があります。
 2019年9月8日に房総半島を通過した台風15号により、館山寮は男子棟の屋根が完全に吹き飛び、隣接する男子用浴室等も被害を受けたことはご承知のとおりです。この事態に対し、既に開始している100周年記念事業募金とは別に、館山寮再建募金をお願いしたところ、同窓会員はもとより、PTA,また、同じ館山地区に臨海寮を有する都立立川高校水泳部OB会の方々からもご寄付をいただき、既に、約2300万円もの浄財をいただきました。深く感謝するとともに、館山寮に対する思い入れの大きさを痛感した次第です。
 2020年は、コロナ禍により、臨海教室および一般開放は中止となってしまいましたが、7月末には第1期工事として、一部破損した男子浴室等の改修および倒壊した男子棟の解体・撤去が完了するとともに、被災した什器等の整備も水泳部OB会の献身的な作業により終了しています。

 引き続き、第2期工事として、男子棟の建設に入ることになりましたが、ここで、大きな問題に直面することになりました。コロナ禍です。当初は、これまでと同様の規模・仕様の建物を建設すればよいと考えていましたが、新型コロナウイルス感染症が主に飛沫感染によるものとされる中、従来の大部屋・雑魚寝方式の部屋でよいのかという疑問が生じてきたのは当然の流れです。もし、大部屋・雑魚寝方式では、感染予防に問題がありとすれば、台風被害を受けていない女子棟に対しても何らかの対策が必要ということになります。
 今後の感染状況や収束の見通しなどを見極めながら、臨機応変に対策を講じ、どのような仕様の建物が適切か、資金をも勘案しながら考えなければなりません。しかし、そうはいっても、臨海教室再開に向けて、再建を早く進めなければならない点が当面最大の課題となります。

 一方で、母校が創立100周年を迎える2022年も視野に入ってきました。2015年から始めた100周年記念事業募金も、多くの会員のご賛同を得、累計約6700万円に達しています。既に、その一部は、母校の生徒支援のための給付型奨学金支給,館山寮食堂および厨房の冷房化を含めた設備改良等に使用させていただきましたが、続いて、100周年記念誌の発行,記念祝賀会の開催,記念音楽祭の企画等の事業が計画または進行中です。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

 また、昨年12月の総会では、規約の一部改正が提案され、承認をいただきました。改正点のひとつに、副会長定員を従来の9名以内から15名以内へと拡大した点があります。この改正により、副会長を卒業回10回ごとに1名の選出、さらにはクラブOB・OG会連合や特別会員(現旧教職員)からもそれぞれ1名ずつの選出が可能となり、新体制としてご承認をいただいたところです。これの狙いは同窓会への関心を幅広い世代,幅広い層に広げ、従前にも増した同窓会活動の活性化を図ることにあります。

 しかしながら、翻って、社会状況を見るに、今年も、人が集まることを避けなければならない状況は続きそうな気配です。代表幹事会や総会も、昨年同様、紙上での開催を余儀なくされると思われます。
 たった3年間のことなのに、鮮明な記憶,懐かしき時代,3年間には収まり切れないほどの幾多の想い出等々を、新宿高校卒という共通項を持つ仲間と語り合う・・・・残念ながら、お預けになるかもしれません。
 それでも、同窓会としての繋がりを保つ方法はあるはずです。ホームページを介した交流の工夫,同窓会誌「朝陽」への寄稿など、他にも知恵を出し合っていきましょう。

 昨年は一人の生活が実は多くの人に支えられているということを改めて実感させられた年でもありました。
 多くの人との繋がりを求め、さらなる同窓会発展へのご支援・ご協力を切にお願いする次第です。