伊藤邦成さん(18回生) の 新著

 ズバリ標題そのものの本である。
 年配者が「肩が凝る・足が痛む」と言って整形外科医院のドアを叩く。かなり待たされたあ
げく、診療は数分。X線などを撮られることもあるが、医師はひとこと、「加齢ですね」、もしく
は「老化ですよ」と言い、しかるべきクスリを調合してくれ、「お大事に!」でおしまい・・・。
 こんな経験をお持ちの方、けっこう多いんじゃないですか。私などは、たぶんそういわれる
だろうと思って、自分から「トシですよね!」なんて言ってしまう。そして、機械でカラダを叩い
たり、マッサージルームに通ったりして、一時的に快感を愉しむ。「♪いいじゃないの 今がよ
けりゃ」(岩谷時子詞・いずみたく曲)なんて歌って、慰めている。
 そうした傾向を著書は戒める。「老化は悪化じゃない!痛いからと言って歳のせいにする
なョ!」と訴える。「歳のせいにするのは、歳に責任を押しつけて逃げ出す」ことだと諭す。
そして、みずからがみずからのカラダをきちんと維持できる方法を伝授する。そういう一冊だ。
 著者は古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉を援用して、「元気な体の作り方」を述
べる。言葉は「Life is  motion」(生命は動である)。寝たきりにならぬためには関節を「動
かすこと。全ての臓器は動かすことで健康を保つ;ようにできている と。
 三章から成るが、どこから読んでもいい。なるほどと思ったら、ただちに実践すること。それに
勝る効果はない。

 著者の伊藤邦成君は、ちょうど50年前 昭和38年の入学である。東京医大で修行し、
警察病院で多くの患者を治療し、昭和63年から三軒茶屋で開業した。千客万来の医院と
いっていい。
 伊藤夫人の三上彩子さんも同じ18回生。才媛のほまれ高く、かってはフジTVの「小川宏
モーニングショウ」のアシスタントをつとめた。一人娘の理枝子さんも父親と同じ整形外科医。
「あとがき」によれば、こうした家族の支えがあればこそ、この一冊が誕生したとのこと。そうし
た仲の良い家族のぬくもりがひしひしと伝わってくる一冊でもある。当方は一読して、「教え子
に浅瀬を教えられ・・」の感しきり。
 一読をおすすめする。

「整形外科医が教える元気な体の作り方」

(株式会社 幻冬舎 2012.9.20発行 167p 777円+税)

Life is motion !

   

                                        佐藤喜一(1回・旧 国語科教師
                                                  S38〜S62)