「パッとしない高校生」のつぶやき


                                     F組 森谷(松下)真由美


 先日、高校の同期の集まりに初めて参加しました。二年で同級だった地引達弘さんが朝
陽祭でのクラスの演劇「シラノ・ド・ベルジュラック」について話していました。

 
 私は、小道具係とセリフが一つある役を担当しました。当日、裏で忙しく作業をし,舞
台に出てセリフを発した後で「もう少しセリフがある役が良かったかな」と思い始め、一
人勝手にブルーな気分になっていました。主役級を希望したわけではなく、裏方の仕事も
充実感があり、他の事に手を出す余裕もないはずなのに。終演へ舞台成功へと向かってい
るこの時に、何ということでしょう。


 この例を出すまでもなく、当時の私は「パッとしない高校生」でした。怪我のため、と
言えば聞こえは良いですが、実際は運動神経も良くないし、自分の時間が取れず気持ちも
すっかり萎えてしまったため、怪我をしたのをきっかけに運動系のクラブをドロップアウ
トしました。その後、文化系のクラブに拾っていただき、楽しく活動していましたが、こ
こでも技術的なことはほとんど身につきませんでした。そして、最後の最後に大学受験に
失敗し、何とも言えない喪失感だけを残し、私は新宿高校を後にしました。


 こんな私が「夢は叶う!」などと言ったところで、全く説得力が無いと思います。実際
努力は大切ですが、報われるかどうかは、その時の状況にもよります。そして、どんな人
にも多かれ少なかれ、「パッとしない」時期は来るものですが、


 @現時点で、できることを続ける。

 A差し伸べられた手は、掴む。

 B流れが来たら、乗ってみる。
 
と、このようなことを心がけていれば、後々自分にとっての心地よいポジションを確保で
きると、私は信じております。

 
 最後に、当時の女子バスケット部、音楽部の皆様、その節はご迷惑をおかけしました。
そして大変お世話になりました。現在の私は、二人の息子に振り回されつつ、細々と百貨
店勤務を続けています。「デパガ」を始めて二十五年になります。皆様から学ばせていた
だいたことを糧として、バタバタと慌ただしい日々ですが、笑って過ごしていこうと思い
ます。